遺言書の書き方シリーズ | エンディングノート日常生活編(緊急時の対応)

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日常生活編、今回のテーマは「緊急時の対応」です。自宅で急に倒れてしまった、そんな時にどんなメモがどんな情報があれば、救急隊の方が周りの人たちが助かるのでしょうか。年間3万人。これは自宅で誤嚥や転倒、溺死など不慮の事故を原因に亡くなる高齢者の数です。交通事故や自然災害で亡くなる方、年間約5000人ですので、約6倍の方が家の外ではなく家の中で命を落としていることになります。また年間7万人という数字もあり、これは同じく転倒や誤嚥などで救急搬送される高齢者の数です。こういった数字からも、外出先はもちろん家の中で何か起こった時、最低限必要な情報は何か。順番に見ていきましょう。

ここでのポイントは3つです。

①かかりつけの病院

②飲んでいるお薬

そして

③緊急連絡先

①かかりつけの病院

緊急時まず必要な情報と言えます。どこの病院に搬送されるかは救急隊員の判断にはなりますが、かかりつけの病院を確認できれば1秒でも早く命を守るための情報を得ることができます。

②飲んでいるお薬

入院先の病院からまず尋ねられることの一つに「どんなお薬を飲んでいますか」があります。市販薬含めお薬手帳などを準備しておくと良いと思います。

③緊急連絡先

救急隊や病院側が知りたい情報として、医療情報はもちろんですが「まず誰に連絡すればよいか」です。連絡先と言っても家族、友人、近所の住民、職場仲間いろいろありますし、アドレス帳があって電話番号がたくさん並んでいてもどこから連絡をすればいいのか分かりません。その中でも「命の危険が迫った時、まず誰に一番初めに連絡すべきなのか」事前に整理しておくとよいと思います。病院では本人の病状によって「手術や輸血に関する同意書」を求められることがあり、その同意書がなかれば治療ができないケ−スもあります。そういった意味からも連絡先も命を守るための重要な情報ということになります。ちなみにこの緊急連絡先はある葬儀社のアンケ−トで「亡くなった本人にしてほしかったこと・知りたかったこと」第2位でした。

場所の問題

そして問題はこのような情報を書いたものを「どこにしまっておくか」です。色んなケ−スを想定すると、2つの場所があると考えます。1つ目は「財布の中」です。これは外出時を想定していますが、健康保険証や免許証の裏に書く、もしくはメモを財布の中に入れておくなどが考えられます。

そして2つ目の場所、これは家の中で何かあった時に備えるものです。冒頭でお話したように家庭内事故は屋外の6倍、家の中で何か起きる確率のほうが圧倒的に高いのです。私がオススメする場所、それは‥冷蔵庫!です。え?っと思われた方いるかもしれませんが、実際に幾つかの市町村では今回のような緊急連絡先を書いたメモを筒状のケ−スに入れて冷蔵庫の中にと決めている自治体もありますし、統一した書式に書いたものはやはり冷蔵庫に貼っておくように、とル−ル化している市町村もあります。

なぜ冷蔵庫なのかというと、ズバリ発見しやすいから!です。引き出しやカバンの中だと家の中にいくつもあるので発見しづらいですが、冷蔵庫は家に一つしかないと思われますので見つけやすいということになります。また何かのケ−スやファイルなどに入れておくことで、例えば家の鍵やアドレス帳などもそのまま入れておくこともでき便利だと思います。皆さんお住まいの市町村でも、何か緊急時の取り組みはあると思いますので一度問い合わせてみるとよいかもしれません。もし自治体でそういったル−ルがないのであれば、冷蔵庫に「情報は冷蔵庫の中に」と分かるよう示し、大事な人には一言伝えておく必要があります。

本人にしてほしかったこと

ちなみに先程の葬儀社アンケート「本人にしてほしかったこと」第2位は「緊急連絡先」でしたが、第3位と第1位は何か分かりますか?

第3位は…「財産」です。ですがここでいう財産とは「誰に何を」といった相続云々ではなく「どこにどんな財産(通帳、土地など)があったのか知りたかった」です。特に高齢者の方は大事なものほど大事にしまいこんで分からなくなることが多々。ある高齢者の方は通帳と財布を「米びつ」の中にしまい込んで、本人が亡くなったあともしばらく探し続けた家族の方がいました。また「どれだけの財産を持っているか」は相続税を払う必要があるかどうか大切な判断材料にもなりますし、万一の時は当面の金銭が必要になる場面もあります。そんな時に「どこに何が」大切な情報の一つといえるでしょう。

そして第1位は…「遺言書」です。ただここでも「遺言書を書いて欲しかった」ということではなく「遺言書を書いていたかどうか知りたかった」でした。本人が亡くなっったあと、しばらくして遺言書が突然見つかったケ−スもありました。

民法改正編でも触れましたが、自筆証書遺言書の財産目録をパソコンで作成できるようになったり、法務局で遺言書の保管ができるようになったり国はあの手この手で遺言書が書きやすい環境を作ろうとしています。もし書いたのであれば、内容ではなく書いたかどうかを大事な方にと伝えておくことが大切ですね。

命を守るために最低限必要な3つの情報

そして「家族が知りたかった」上位3つの情報

大切なのは内容ではなく「どこに何が」「あるかどうか」

年齢に関わらず

普段から必要な情報を準備しておきたいですね。