遺言書の書き方シリーズ | エンディングノート医療介護編パート②

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いわゆる「ターミナルケア・終末期」の場面を迎えるまでに、どんな心づもりが必要なのか。

ここではある数字から考えていきたいと思います。

「不治の病になったら」

「85%」この数字はなんだと思いますか?

これはある新聞社のアンケートで自分が不治の病になった時「教えてほしい」 と答えた人の割合です。

約8割の方が「自分がどんな病気にかかっているのか知りたい」ということになります。

では今度は「50%」これは何の数字でしょうか?

これは逆に「自分の家族が不治の病になったら、病名を教えますか?」と答えた人の割合です。つまり自分の時は教えてもらいたいが、自分の家族がそうなってしまったら家族には教えたくない感情が日本人にはあるということです。

人はどこで死ぬのか

2021年介護保険改正では「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の中で「看取り期における本人・家族との十分な話合いや医療介護関係者との連携を一層充実させる」と今まで以上に最期の場面でどうしたいのか、本人家族と医療関係者が話し合うことが求められています。

病院死80%在宅死13%これが今の現状です。

国はこの13%という数字を40%ま引き上げようとしています。

何故か。「住み慣れた自宅で」といえば聞こえはよいですが、現実として「病院ベッド数の限界」があります。今医療業界はコロナで大変な状況になっていますが、こうなる前から年間死亡者数(140万人)と全国の病院のベッド数(90万人)には大きな格差があります。

そもそも最期を迎える方のベッドは全員分用意されていないのです。

最近皆さんの周りに、地域に何が増えたでしょうか?

デイサービスや訪問看護、サービス付き高齢者向け住宅が増えているのではないでしょうか?

国は着々と「病院以外の場所で」最期を迎える準備をしています。

アンケートから分かるように、自分の思いと家族の思いは違います。

「自分だったらこうしてほしい」「最期どんな場所で迎えるのか」しっかりと周りに伝えておくべきなのではと思います。

自宅で最後をむかえるためには

では最後に。80%の方は自宅で最期を迎えたいと思っている中、そのためには何が必要なのでしょうか?専門家として3つあると考えます。

1,本人・家族の意思

1つ目「本人・家族の意思」です。本人と家族、両方の意思が必要、というところが大事だと思います。本人だけ思っていても、家族だけが望んでいても難しいように思います。

2,医療

2つ目は「医療」、これは訪問看護や往診など「在宅での医療サービスが地域にあるか」というところが大事だと思います。どれだけ自宅で暮らしたいと思っても、そもそも地域に診療所も訪問看護ステーションもなければ難しいところはあります。ここは地域事情に左右されるところです。

3,支援者の存在

3つ目は「支援者の存在」です。当然家族ということになりますが場合によっては友人、遠縁の親戚ということもあります。思いがあっても、医療があっても周りに支援者が誰もいなければ万一のことが起こった時に、というところです。ここでいう支援者とはつきっきりで介護をされる方のことではなく「緊急時誰が駆けつけてくれるのか」「お医者さんと誰が一緒に話を聞いてくれるのか」という存在も含みます。

もちろん生涯お一人で自宅で最期を迎えられた方もいらっしゃいます。その場合は事前に、それこそ「人生の最終段階における‥」本人と医療介護職が丁寧に話し合っておく必要があると思います。