皆さんこんにちわ。
行政書士、ケアマネジャ-の坂本です。
なんだか物騒なタイトルですが、今日は最期の迎え方の一つとして散骨について少しお話をしてみたいと思います。何も散骨を推しているわけではありませんので、ご安心下さい。
足りないお墓
少子高齢化時代は多死時代であり年間死亡者数は138万人(2020年度厚労省集計)、一つの政令指定都市がなくなってしまうほどの規模でたくさんの命がこの世にお別れを告げていることになります。そうなると病床数とともに心配になるのが「お墓の数」です。
厚労省集計では全国の墓地86万箇所、一つの墓地で平均300区画ですので‥というところですが、そのほとんどがご先祖様で埋まっている状態であり、そこへ地方から都市部への人口流出があり更に法規制、近隣住民との調整、経営面の課題などにより新しく場所を確保できない都市部ではよりお墓不足は深刻です。
東京都内の公営墓地の募集には定員を大きく上回る応募が殺到し、需要が供給を上回る状況が続いています。墓所を確保できずに遺骨を自宅に所持している、あるいはお寺に預けているというケ−スもかなり存在すると言われています。そのような状況下で少しずつ認知されてきているのが「散骨」ではないかと思います。
国内の海洋散骨事情
国内の海洋散骨は年間2.5万人と言われ将来は10倍以上に増える可能性もあると言われています。ちなみに山林への散骨は年間9000人と言われていますので、自然界への埋葬で比較すると山よりも海を望む方が多いということになります。
ここからは海洋散骨事業を手掛けている私の知人とのエピソ−ドを踏まえお話していきたいと思います。
海洋散骨とは「祭祀の目的をもって、故人の火葬したあとの焼骨を海洋上に散布すること」(一般社団法人日本海洋散骨協会ガイドライン)とあります。
私と散骨との最初の出会いは、この知人が主催する「散骨体験」でした。実際の散骨さながらに東京は勝鬨橋近くからお台場を通り東京湾へ、焼骨の代わりにお塩を海へというものでした。
散骨の法的な問題は?
まず疑問に思ったのは「散骨は違法ではないのか?」です。
結論から言いますと節度をもっておこなえば法的に問題はない、ということになります。日本における遺体の埋葬に関する規制は「墓地埋葬等に関する法律」で定められており、この法律では自宅の庭など墓地ではない場所への遺体の埋葬を禁止していますが、散骨を禁止する規定はなく一部地域の条例を除いて法規制の対象外とされています。
また散骨が刑法の「遺骨遺棄罪」に抵触するのでは、という議論がありましたが1991年法務省より「葬送のための祭祀の一つとして説度をもって行われる限り、散骨は遺骨遺棄罪にはあたらない」との見解を示しています。
またガイドラインではトラブル防止の観点から
・遺骨の粉末化(1〜2mm程度)
・喪服の着用は避ける(マリ−ナ等他の利用者の心情に配慮するため)
・海洋ではなく沖に
・自然に還らない副葬品は撒かない
など
また事業所によっては船上で食事をする際に「赤ワインは提供しない」などの心情的配慮もあるようです。
散骨をするのはどんな人?
気になるお値段ですが、一隻チャ−タ−で29万〜となっておりました。参考までに。
体験が終わり色々質問したあと最後知人に聞きました。「散骨する上で一番大事なことはなんですか?」と。彼女から返ってきた答えは意外でした。それは値段や場所やサ−ビス内容でもなく「一番大事なことは話合いです」と。
彼女曰くまだまだマイナ−な選択肢である散骨、当然家族間でもめることがよくあるそうです。あるケ−スでは生前お母様が強く散骨を望まれていて、その意を汲み取った次女様が実際に散骨。ですが相談を受けていなかった長女様から反対を受け、というケ−スがあったそうです。散骨をするにしても全部撒くのではなく、一部を散骨する「分骨」というものがあるそうです。おそらくこのケ−スの正解は、散骨がいいか悪いかではなくお母様含め事前に「話し合う」ことだったのでしょう。
この「話し合う」は私の投稿でも度々登場するキ−ワ−ドです。
法律も医療も介護も、そして散骨も大事なのは結果ではなく、そこに至るまでのプロセスです。
どう埋葬するか、どこに埋葬するか。樹木葬、桜葬、最近では宇宙葬などの話題も出てきました。どの選択肢を取るにせよ、本人と家族、友人、周りの大切な方が事前に話し合っておく、これ以上の弔いはないように思います。
散骨事業は東京だけでなく関西でもよくホ−ムペ−ジ案内を見かけるようになりました。
山よりも海、日本人のDNAによるものなのかどうか。
皆さんもまずは家族、友人で話し合ってみてはいかがでしょうか。